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概要

20150218-0005-001

34 第2 章 匠の技*2 黒川目鑑橋(橋場橋)は肥後の石工、仁平が阿蘇を流れる黒川(白川水系)に1782(天明2)年に架けた本格的な石造アーチ橋だったが、1953(昭和28)年の集中豪雨の際に流失した。仁平はこの橋を架ける以前に、リブアーチの輪石7列のみの洞口(とうぐう)橋を現在の熊本県山鹿市菊鹿町に架けている。リブアーチとは、川の流れに対し直角方向に長い縦長の輪石を使ってアーチを組む工法で、試験的に架けられたと考えられている。洞口橋は1993(平成5)年の洪水で損壊したが、石材を集め、すぐそばに移設・修復され保存されている。師匠から独立へ 師匠の自宅に住み込みで働くようになって3年たった1953年、成人した竹部さんは一通りの仕事をこなせるようになる。独立を考えるようになった竹部さんは、1年間のお礼奉公を条件に独立を認めてもらう。その年には熊本で大水害が起こっている。ちなみにその水害で、熊本市の中心市街地などで浸水被害が起きたが、阿蘇の黒川に架かっていた本格的石造アーチ橋としては熊本最古だった「黒川目鑑橋(橋場橋)」*2が洪水により流失した。大ゲンノウ カナテコツルハシヨキハヅチ左からテヅチ、平ノミ、石ノミセリ矢◇ヨキ(与岐) 石材の表面加工や仕上げに使う◇ハヅチ(端槌) 岩石を大取りした後の荒削りに使う◇テヅチ(手槌) ノミを打つためのハンマー◇平ノミ(平鑿)・石ノミ(石鑿) セリ矢を打ち込むための小穴を掘る際や石材の表面加工に使う◇大ゲンノウ(玄翁) セリ矢を叩いて石を割るためのハンマー◇ツルハシ(鶴嘴) とがった方はノミの代わり、丸い方をハヅチとして使う◇セリ矢 石に穴を掘って打ち込み、背をハンマーでたたき石をせり割る◇カナテコ(鉄梃) テコの原理を利用して石の位置を調整する際に使う石工道具