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概要

20150218-0005-001

40 第2 章 匠の技(3)石橋復元設計 事前調査及び石橋調査解体で得られた結果を基に、さらに、胴どうぎ木*10の材質・強度や擬ぎぼし宝珠*11成分分析、石材補修等の試験を実施しながら、文建協等に委託して石橋復元設計を行った。設計は、主に伝統技法を文建協が、数値解析、図化等を民間コンサルタントが分担する方式を採った。 平成9年9月には石橋復元形状及び基礎地盤処理の設計が、翌年3月には石橋復元の施工計画が調査委員会において了承された。(4)石橋復元 平成10年1月から基礎地盤対策工事に着手し、また、胴木製作や石材補修にも順次取りかかって、同年6月24日、石橋の復元に着手した。その後、翌年3月24日には最後の2連目アーチ閉合を行い、同年9月30日に復元工事を完了した。 これと並行した調査については、伝統技法の施工監理を文建協に、出来形、作業方法等の管理を民間コンサルタントに委託した。 なお、アーチ組み積みについては、設計と実際との差異を把握するため4連目で試験施工を石橋記念館(石橋記念公園)河床の護床敷石も復元されている西田橋高麗橋(石橋記念公園)*10 胴木は、石橋下の川底にはしご状に敷かれた木材のこ 玉江橋(石橋記念公園)とで、西田橋では松が使用されていた。軟弱地盤での作業性を確保することが主目的だったと考えられている。はしご胴木ともいわれ、胴木の上にアーチの基礎となる基礎石が載ってアーチの土台となり、川底のその他の箇所には護床敷石と呼ばれる石材が敷き詰められ河床の洗掘を防いで、アーチ基礎を保護していた。甲突川五石橋のうち西田橋と新上橋だけに胴木が見つかっている。*11 擬宝珠は、寺社などの伝統的建築物の高欄(手すり・欄干)に設けられた飾り。丸くて上部先端がとがった形をしている。橋では寺社の境内や門前に架かる橋に擬宝珠が施され、格式を表した。西田橋の擬宝珠に慶長17年(1612年)と刻まれているものがあることから、石橋に架け替えられた際に木橋時代の擬宝珠の意匠が踏襲されたと考えられている。