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概要

20150218-0005-001

44 第2 章 匠の技*1 穿つ、削る、叩く、接ぐ、据える、割る、積む、架けるの意味は「広辞苑第六版」(岩波書店)より一部を引用。よったもんな。それはわしの性分かもしれんが、頼まれたら一生懸命にやってきた。それが大きな文化財の仕事につながったと思っとる」 鹿児島での3年7カ月にわたった西田橋移設復元工事が終わり、熊本の自宅に戻った竹部光春さんのもとへは、匠たくみの技を求めて数々の石積み工事の依頼が来るようになる。集中豪雨の後には文化財に指定された石橋の一部が損傷すると、石橋を管轄する教育委員会から建設会社を通じて依頼があり、竹部さんが駆け付け、その橋が造られた時代に合った修理を行ってきた。 体の続く限り頑張っていた竹部さんも2009年、76歳で現役を引退。日本の石橋を守る会では2011(平成23)年度から、肥後種山石工の技術を受け継ぐ竹部光春さんの技術と心意気を次の世代につなごうと、石橋構築・修復技術者の養成を図る事業を進めているところである。技を受け継ぐ ?竹部光春師匠に聞く? 職人の技術の確かさは、石橋の出来上がりの良さにつながる。技能は職人の身体的・精神的な特性に応じてその人の体に備わる性質のものであり、確かな技術は師から弟子に受け継がれ、本人の十分な努力と現場経験の積み重ねにより技能は向上するといわれる。 石橋構築・修復技術を細かく分けると、次の8つの技能が浮かび上がる。*1 ◇穿つ(うがつ) 孔をあける。穴を掘る。つきぬく ◇削る(けずる・はつる) 少しずつそいで取る。薄くそぎ取る ◇叩く(たたく) つづけて打つ。くり返して打つ ◇接ぐ(はぐ・つぐ) 二つのものをつぎ合わす。つなぎ合わせる ◇据える(すえる) 置くべき場所を定めて物を置く。一カ所に定めて動かないようにする ◇割る(わる) 力を加えて二つ以上に分け離す。ある大きさにくだく。さく ◇積む(つむ) 同質のものをその上その上へとうずたかく重ねておく ◇架ける(かける) 事物をある所から他の所までわたす かつて石橋構築技術の確かさで高く評価された種山石工衆も、師とともに経験する現場の中から、これ