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概要

20150218-0005-001

第 1期 2011(平成 23)年度 17*19 要石はアーチクラウンとも呼ばれ、輪石組み立ての最後の工程でアーチ中央部に設置する石材。支える支保工の役割も大変重要になります。以前は支保工を大工が担当していましたが、受講者は石工技術だけでなく、大工技術も学ばなければなりません。 既製品が多用される最近の土木工事は、効率が良く短時間に出来上がります。手作業で行う石橋構築作業は、ものづくりの精神が備わっていなければ、心が折れてしまうはずです。そんな地味できつい作業に感じられます。しかし、受講者は真剣に、ときに笑い合いながら作業に集中しています。現時点で受講者は心の面では十分合格の域に達していると思いました。アーチを架ける 11 月12 日は支保工の上に、両岸から一列ずつアーチ中央部に向かい輪石の組み立て作業を行う。輪石の接合面を手作業で細かく削り、隣り合う石材との接合を確かめながら輪石が並べられていく。アーチ中央の要かなめいし石*19 は、特に接合具合に神経を使い微調整が必要。安易に次の作業に移るわけにはいかないため、作業は暗くなってからも続いた。 翌13 日は、ついに支保工の取り外し作業。支保工下には6 個のジャッキが設置されており、それをゆっくり下げる。輪石を支えていた支保工が下がると、隣り合う石材同士の摩擦力と石材の重みでアーチが締まるのである。ジャッキを下げると、アーチを横から見て支保工と輪石の間に隙間ができている。試しに輪石の上を歩いてみると、少しだけがたつきがある。そこで竹部光春師匠は、事前に用意していた鉛の板を輪石の隙間に打ち込んでいった。 この鉛の板は、投網用の重りを代用したもので、師匠がかつて鹿児島の西田橋移設復元工事で石工棟梁輪石の中央の列に要石を設置両岸から中央に向かい、順に輪石を置いていく支保工の天板には墨が打たれている支保工の組み立て