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概要

20150218-0005-001

24 第1 章 肥後種山石工技術継承講座 経過報告 1999年に上塚尚孝氏が尾上一哉氏に依頼した石造アーチ橋の解体マニュアルは、現在、株式会社尾上建設のホームページで公開されている。「石橋解体要求の発生、または可能性を発見した場合、地区の文化財保護委員会に連絡する」から始まる「石造アーチ橋解体手順書」に続き、「解体指示書作成基準」が示されている。下記にそのマニュアルの一部を紹介する。石造アーチ橋解体指示書作成基準必須項目・実施手順目的 解体されようとする石橋を確実に復元可能な状態に解体するための、設計必須項目・実施手順について定める。1.周辺物の除去 A 修理等でコンクリートや鉄骨等が付帯している場合、石橋に影響を与えない解体方法の考慮 B 周辺物を除去するにあたり石橋への影響が避けられない場合、先行支保工の仮設の考慮 C 解体途中で不明な工作物や事象があった場合の即時報告(監督員へ)の義務の明示2.石橋の調査測量 A 現況のすべての部位および全体の写真の撮影整理 B 裸の状態になった石橋を、下記について測量・作図   ※できれば縮尺は1:10か1:20とし、復元時に参照し易い図面とする。また、石材には凹凸があるの   で、測定するためのルールが必要となるが、実績上、凸部を連結した延長上の架空の点を、測定する   場合の基準点とする C 全体平面図:周囲の位置関係も含む D 立面図:上下流2面。個々の石材展開図を含む E 断面図:左右岸および中央部、計3面 F 輪石展開図:アーチの内側の精密な実測図。根石四端対角線測定 G 径間と拱矢:上下流共   ※拱矢とは、根石の基準点から対岸に糸を張り、その中央から要石中央の下端までの垂直距離 H 根石の位置:上下流端および左右岸の根石の位置を測定。高さおよび対角線   ※三次元座標測量を推奨 I 石橋を構成する材料は凹凸があるため、凸部を連結した延長線が交差する点を測量基準点とするこ  との明示〈重要〉3.第一次マーキング A 石橋を構成するすべての石に、位置・方向などの固有情報を付加するために、マーキングを行う。容易  に紛失しないよう、また、復元した場合、完全に撤去できるマーキングの方法を明示する B 現況で垂直墨を打っておくと復元時に垂直方向が判る。似たような工夫があれば明記しておく4.支保工仮設 A アーチを3㌢ほど浮かすことのできる木製支保工を設置する。その手順は下記の通り  (1)測量した図面および、過去の支保工事例を参考に支保工を設計する  (2)河床に支持基礎を設置し、油圧ジャッキを並べ、木製の支保工の下段桁を設置する  (3)輪石を受ける梁および束、上下流の接続梁を組み立て、並べ木を取り付ける  (4)並べ木の上と輪石の隙間に、2.5㍉ベニヤを差込み、ジャッキを上げて輪石に密着固定する須ノ前橋の支保工設置作業