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概要

20150218-0005-001

技を受け継ぐ ?竹部光春師匠に聞く? 47 上塚 石割りの実習はいかがでしたか。そばで見てもらいましたが、石材に矢穴を穿うがつのも大変な作業のようですね。 竹部 石割りは、石の目に沿って矢穴を掘って、鉄製のセリ矢を差し、それを上からゲンノウ(玄翁)で叩たたくと、セリ矢が打ち込まれるときに穴の左右が広がり、石の目に沿ってひびが入って、石が割るるようになっとるとですが、初めのころ(受講者)は、矢穴を十分掘っとらんかったけん、セリ矢を上からたたいても矢が底を打って、その反発で穴からセリ矢が飛び出すだけでした。あれを繰り返すと、ゲンノウ(玄翁)が当たるセリ矢の角が松茸の笠のごつ丸くなって、叩いた拍子に鉄片が欠け、飛んで行って人を傷つけることもあります。当たると危なかけん、気を付けんといかん。矢穴ば掘るときは、底を1㌢ぐらい余分に掘っておくようにせんといかんのです。ただし、そうして矢穴を掘って割ろうとしても、きれいに割れん石もあります。石に傷があると傷が入っている方向に割れるけん、石材を選ぶときは石の傷にも気を付ける必要があるということです。石の目は、切り出す前の石山では横向き(水平)に入っとることが多かばってん、石切り場で転がっとる石はよく見らんと石の目は分からんもんです。よく見ても分からんときは、少しだけ削はつってみて石の目ば見ると分かります。石にも木と同じように、「板いため目」と「柾まさめ目」があって、石の表面を触ってみると、板目はつるつるですが柾目はざらっとしとります。板目に石を割るときは矢穴の間隔を広げるが、柾目に割るときは矢穴の間隔を詰めるようにします。風化や損傷した石材の修理 霊台橋保存修理工事完成時の写真を見ると、新材を使った部分の石材が黒く、従来からの石材は白っぽく見える。霊台橋に関連して、次のような問答が交わされる。 竹部 霊台橋の保存修理工事では、新材を使った部分の石材は水気があって黒かですが、年数が経つと白くなります。 上塚 石によって風化するものと、そうでもないものがあるでしょう。 竹部 石山に行くと、表面は軟らかく風化しています。軟らかい石を壁石に積むとはらみ出しやすかけん使えんですが、1?2㍍ぐらい下の石になると使えるもんが出てくるこつがあります。 上塚 工事の際の記録写真(p37)に接着剤が写っていますが、何のために使われたのでしょうか。 竹部 割れている石材があったけん、石材の中に鉄筋ば入れて接着剤で接ぎました。接着剤はいろいろ種類がありましてな、接着試験ばして強度を試しました。角が欠けている石材は、石の粉を接着剤で固めて修復しました。 上塚 霊台橋の保存修理工事の写真(p35)を見ると、袖石垣には江戸時代にはなかったはずの間知石ノミで矢穴を掘る作業の様子