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概要

20150218-0005-001

48 第2 章 匠の技石が使われていますね。 竹部 霊台橋は明治33年の拡幅で車が通りやすいように、石材ば積み足して橋面の勾配をなくしてありました。修復ではその部分、両岸近くは2㍍ぐらいの高さ分の石材を取り除きました。そのとき取り除いた壁石の石材を袖石垣に使いました。架設当時の袖石垣の正確な図面などないので、工事監督から「ちょうはい(やり方)は竹部さんに任せますが、あまり合端がきれいにそろい過ぎると近代的な造りに見えるけん、江戸時代風の積み方にしてください」て言われたもんで、きれいになり過ぎらんごつ注意して、袖石垣の丸みは私流にしました。石橋に馴染むように修理 竹部 石橋を架けるときは、架けようとするところのそばをよく見る必要がある。もし修理をするのであれば、その橋によく似た石積みをして、その付近の状況に合わせた仕事をするようにしていかんといかん。石の大きさ、石の質。石橋に丸い石が使ってあれば、丸い石を使うとか、その状況に合わせることを第一番に考えんといかん。状況に合わんことをせんように。修理した部分も修理が終われば、修理などなかったように、橋に調和して見えるようにすることが大事で、その時代に合った仕事をせんといかん。そして、使う道具の選択も考えんといかん。輪石にヨキ(石材の表面加工に使用する石工道具)が使こうてあったら、修理で新しく壁石を積むときは、壁石にもノミを使ったらいかん。ヨキではなくノミを使うと状況に合わん。だけん、アーチにあった仕上げをするのがよかろうと思う。その方がした仕事が馴染む。馴染むということが一番たい。数多くの現場経験から勘を養う 西田橋の移設復元工事の際の写真には、解体した後に石材を保管しておく広大な敷地や、一つ一つの石材のクローズアップなど、さまざまなカットを見ることができた。 上塚 保管されている石材には、赤い印が付けられていますね。 竹部 細い文字が書けるスプレーで、積んだ後に隠れてしまう面に番号が書かれておったですね。解体現場では石材に直接番号を書くことはせず、小さく白い5㍉厚程度のプラスチック板に番号を書いて、その板を石材にゴムひもで巻き付けて、石材置き場に運んでおりました。西田橋では石材は1年半ぐらい置き場に保管されていたと思います。重ねて積んだ状態で置いておくと石材が傷つくけん、1つずつ重ねず、平面に並べて保管しておりました。海の近くの広い埋め立て地が石材置き場になっておって、西田橋、高麗橋、玉江橋と、それぞれの橋ごとに石材置き場が分かれておりました。石材には青いシートをかぶせて、風修理直後の川内田堀切橋(上流側)水分を含んだ新材がまだ黒い