ActiBookアプリアイコンActiBookアプリをダウンロード(無償)

  • Available on the Appstore
  • Available on the Google play
  • Available on the Windows Store

概要

20150218-0005-001

技を受け継ぐ ?竹部光春師匠に聞く? 49でシートが舞わんごつ、ところどころ重しのため土を盛ってあったですな。 上塚 石材に文字が彫られています。築造当時のものでしょうか。 竹部 「進」「弘化二年」て彫ってあって、「一番 掛かり」て彫られた石材は、一番最初に扱う石材のこつで、「川上」は上流側でしょうな。 上塚 石橋の築造工程には、橋に水を掛けて固める工程があるようですね。 竹部 「水ぜめ」といって、基礎にも壁石の裏込めにも相当な水を掛けます。小石を「こっぱがら」というて、裏込めに小石を詰める「こっぱ詰め」してから、水ぜめばしました。基礎にわずかでも狂いがあると後で大きく違ってくるけんですね、工事中は専門の監督官が毎日来て、ここが高か、あそこが高かと指摘しました。 藤原 解体した石材を据えるとき、微調整は必要でしたか。 竹部 微調整をしながら据えていかんと、並べただけでは合わんごとなる。作業をやっていくと、もうこの辺でいいという安心感が出てくるけん、その段階になると間違いないと思う。しかし、自分ではこれでよかと思うても、他人に見てもらうと他人は見る目が違うもんたい。自分ではどうしても判断の甘うなる。それは、後で自分で手直しができるという感覚があるけん甘くなる。だけん、他人に見てもらうとが確実たい。自信過剰になると、それが失敗につながる。 上塚 バール(鉄梃)で少しずつ石材の位置をずらしながら作業を進める姿をみると、微調整は大変ですね。 竹部 微調整が一番難しかですな。石材を見回すとどこかが合っていない。違うなと感じるときは必ず違う。カーブをつけて積むとき、自分たちは計算より勘を大事にする。勘は経験から生まれるもんだけん、多く仕事した人の方が上手。上手というのは、仕事が早くきれいということです。確実性がある。職人は計算して、計算通りに仕事するということがでけんもんで、計算に頼ろうとすると間違えてしまうとです。自分の経験からくる勘で仕事を進めると、これが一番間違いなか。人によって考え方が違うが、それはそれでよかて思っとります。筋の通った昔からの技術を信じていけばよかて。 上塚 受講者の皆さんにはぜひ、竹部師匠の技を受け継いでもらいたいものです。 竹部 受講者には十分勉強ばしてもらいたかです。昔からの技術を受け継いでいきよるということば忘れんで、しっかりと仕事の仕方ば受け継いでもらいたい。自分の身に受け継いだものが一番強か。何歳になっても、体が動かんごとなっても、頭が普通に働けばだいたいのことはできる。一生懸命やってくれれば私もうれしい。私を超えて上にいくように、頑張ってもらいたか。そういう職人になってもらいたい。追い越して当然だけん。自分の勉強次第では、さらによか仕事ができる。そういう可能性はあるとだけん。受講者には一つでも多く、仕事の実績ば残してもらいたかと思っとります。