ActiBookアプリアイコンActiBookアプリをダウンロード(無償)

  • Available on the Appstore
  • Available on the Google play
  • Available on the Windows Store

概要

20150218-0005-001

貴重な石橋が次々と被災 57貴重な石橋が次々と被災 現存する石橋の中には、築造から100年を経過した現在も実用の機能を果たしているものもあり、その耐久力を示している。また、文化財としての価値を評価され、大切に保存されている石橋もある。しかし、高度経済成長期以降は河川改修や道路整備などに伴い、多くの石橋がその文化的価値を検討されることもなく撤去された。撤去を免れた石橋も、新しいバイパス道路の敷設などにより人・車・水を渡す実用橋としての役割を終え、草に埋もれて遺跡のようにひっそりと姿を隠しているものが多くなってきた。集中豪雨による川の氾はんらん濫で損傷を受けても修理されることなく、放置されている石橋もある。 近年の集中豪雨による石橋の被害状況について、概略を紹介する。豪雨災害で被害を受けた石橋◇2007年熊本県豪雨災害 2007年7月、熊本県は激しい豪雨に見舞われ、県は美里町に災害救助法の適用を決定。自衛隊に対し孤立住民救出のため災害派遣要請がなされた。緑川流域のこの地域は石橋が数多く現存しているが、下益城郡美里町の阿あせりばばし芹場橋と目めとぎばし磨橋、八代市東陽町の鍛かじやしぜんせきばし冶屋自然石橋が流失。美里町の桑くわきのばし木野橋の基底部が損壊しコンクリート橋に架け替えられ、同町の二ふたたまたばし俣橋と大おおくぼばし窪橋が一部損壊した。 二俣橋と大窪橋はその後、肥後種山石工技術継承者の竹部光春氏が見事に修理し、現在ではどの箇所に被害があったのか見分けることが難しいほどになっている。 当時、気象庁が同年8月15日に発表した災害時気象速報(平成19年台風第4号及び梅雨前線による7月2日から7月17日にかけての大雨と暴風)には、次のように記されている。大雨の状況 7月2日から12日には、九州から本州付近にのびる梅雨前線の活動が活発となり、鹿児島県や熊本県を中心とした九州地方から東北地方の各地で断続的な大雨となった。3日には鹿児島県枕崎市の日雨量が7月の月間平均雨量(278.9㍉)を超える347㍉に達し、6日から7日には熊本県を中心に大雨となり、熊本県甲佐町では7日までの24時間雨量が324㍉と観測史上1位を更新、また、熊本県西原村俵山では432㍉などとなった。11日には鹿児島県南大隅町佐多の24時間雨量が7月の月間平均雨量(303.8㍉)を超える353㍉を観測した。(以下省略)2007年熊本県豪雨災害で被害を受けた石橋阿芹場橋 流失下益城郡美里町、架橋年不明、単一アーチ、橋長9.8㍍、橋幅1.8㍍目磨橋 流失下益城郡美里町、1831年架橋、単一アーチ