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概要

20150218-0005-001

石橋保存の壁 71いて石材の3次元形状・寸法を計測、解析処理し、石橋の復元を支援するシステムの研究*13が進行している。今後の科学技術の進歩による成果に期待したいところである。伝統の石工技術を次世代に伝える 石橋の修理状況を見ると、その石橋が築造された時代を無視した改変や修理が行われている事例が「日本の石橋を守る会」に報告されている。すでに紹介した河川改修や道路拡幅に伴う改変のほか、石橋全体をコンクリートで覆う工事が行われている事例も見られる。そうした背景には、石橋の強度とその文化的価値が十分理解されていないこと、仮にそれが理解されていたとしても、文化的価値に傷をつけることなく修理を実施できる体制が整っておらず、周囲にその技術者もいないことが、日本の石橋を守る上での課題であり、石橋構築・修復技術者養成事業の背景となっている。 本会は、全国各地の石橋愛好家とともに日本の石橋を保全する活動を行っているが、石橋の修理および復元には、石橋の構造と特性を十分に理解し、修復だけでなく、新規に架設するだけの力量を備えた石工技能者が求められる。そこで本会は、肥後種山石工技術継承者である竹部光春氏(現在81歳)に実技指導を依頼し、2011(平成23)年度から実習ほか、座学や見学を取り入れた「肥後種山石工技術継承講座」を続けている。座学には、本会の会員ならびに九州構造・橋きょうりょう梁工学研究会(KABSE)所属の研究者が講師として協力した。 素晴らしい伝統技術が確実に次世代に受け継がれるよう、石橋とその文化的価値への理解者の輪を広げていかなければならない。*13 九州構造・橋梁工学研究会(KABSE)・石橋の設計と維持管理のガイドライン作成に関する研究分科会・2014年6月発行「石橋の設計ガイドラインと維持管理ガイドライン」の第Ⅰ編 石橋の設計ガイドラインを参照。