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概要

20150218-0005-001

76 第4 章 石橋の復活を目指しての鉛直変位を測定するものである。図3.5は鉛直変位について実験値と解析値を比較した結果の一例である。解析には研究室で開発した離散化した有限要素法により、2次元モデルを用いて実施した。荷重2.5kNをアーチクラウン(要石)部に載荷した時の鉛直変位挙動で、解析値は試験値と比較的良い対応を示した。 なお図中の無次元化したとは、スパンの長さが変化した場合でも比較しやすいように、鉛直変位(v)をアーチライズ(f)で割った値のこと。なおスパンライズ比(f/L)*7は、スパン(L)とアーチライズ(f)の割合である。(3)アーチ輪石模型による動的特性の実験と解析による検討 アーチ輪石模型の地震時挙動の解明及び解析モデルの石材間の摩擦関係とすべり関係を表現したモデルを導入した動的解析手法により解析し、解析手法が妥当であるか検討した。 図3.6に示すアーチ輪石模型を写真3.7のように振動台に載せた動的実験を行い、力学的挙動の実験的評価を行った。スパンライズ比(f/L)の異なる2体の模型に正せいげんは弦波*8と複数の地震波*9を作用させ、共振する場合の振動数の把握と模型に発生する加速度を測定して比較を行った。次に、実験と同じ解析モデルを作成し解析を行い、実験値との比較により解析手法の妥当性を検討した。最後に、アーチ輪石上に壁石の簡易的なモデル化を行い、壁石の有無による振動特性の違いを確認した。 図3.7はスパンライズ比0.2の模型(f/L=0.2)と同0.35の模型*7 スパンライズ比(拱矢比)とは、拱矢(ライズ)を径間(スパン)で割った値。完全な半円ならその値は0.5。スパンは輪石内側の直径。ライズは水面から要石下までの鉛直距離(垂直の高さ)。*8 正弦波とは、基本となる周期的変化を示す観測可能な波形の波動。*9 地震波とは、地震発生の際に地球を伝わる波動。図3.7 実験値と解析値の共振比較図3.6 スパンライズ比0.2の輪石模型(a)側面図(b)平面図写真3.7 振動台を使用したアーチ模型の動的実験