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概要

20150218-0005-001

80 第4 章 石橋の復活を目指してて数十年から200年以上使用され続けていることは、石材の耐久性に加え、維持費を含めた経済性が鋼橋・コンクリート橋よりも優れていることの何よりの証である。維持管理に注意を払う必要がある鋼材やコンクリートを含まないために、腐食や剥はくり離鉄筋露出といった損傷からも無縁であること、さらには材料劣化がしにくいなどの特徴が挙げられる。 また、石橋の設計方法については、江戸時代に用いられた規きくじゅつ矩術と和わさん算による眼鏡橋の計算法があり、さらには明治時期には、土木実用アーチ設計法が既に作成されていることが判明しているが、現在は残されてない。 産官学の委員で構成されているKABSEの石橋研究分科会では、耐久性がある石橋を長寿命化が可能な中小スパンの橋梁として用いることを目的に、石橋の設計・施工に使用できる石橋設計ガイドラインを作成した。これは、現在の道路橋示しほうしょ方書や中国の石橋設計基準書を参考にして、日本の石橋設計と施工に関する規定を策定したものである。今後は、この石橋ガイドラインを用いて実際に設計し、施工を行って石橋の架設に取り組むことにより、ガイドラインの問題点や改訂すべき点を明らかにすることができると思われる。 またこの規定には、先に述べた石橋に関する研究成果が盛り込まれているが、地震や洪水に対する安全性についての規定については不十分であるので、さらに研究を進めて石橋設計ガイドラインを改訂し、一般の技術者も使用できるようにする必要がある。 一方、石橋を維持管理するための点検マニュアルの整備を行い、実際に石橋の損傷状況や現況調査に使用してきたが、石材の割れや壁石の膨らみなどの損傷に対する補修・補強技術を提供していくため、石橋の維持管理ガイドラインも作成している。石橋には石造アーチ橋のみならず桁橋も多くあることから、桁橋の実態調査を行ない、石橋として維持管理の在り方や補修・補強工法をまとめていき、課題解決に努めたい。石橋構築・修復技術者養成事業への期待 維持管理が不十分な石橋は、長い年月とともにアーチ輪石の抜け落ちや石材の割れ・開きなどの損傷や壁石の外側への膨らみ等の損壊が見られるようになった。石橋は一旦崩壊すると復元には多大な労力と時間が掛かるが、損傷を受けた石橋の補修・補強方法あるいは強度特性について、評価できる技術者がほとんどいないのが現状である。損傷のある石橋を補修する場合、一度解体して再度石を組み直すという方法もあるが、専門的に対応できる石工技能者も少なく、時間的・コスト的にも問題があり、それは簡易な手法とはいえない。 石橋の健全度評価法の確立や損傷状況を点検するための点検マニュアルの作成をはじめ、解析手法開発のための石材の圧縮とせん断実験および模型実験等の研究が進められてきた。さらに、実際に現地での損傷状況や現況調査や車両走行実験なども行なわれ、石橋をどうすれば健全度評価でき、地域の方々と石橋が共存でき、守ることができるか試みられているのが現況である。