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概要

20150218-0005-001

石橋構築・修復技術者養成事業への期待 81 石橋を永久橋として残すためには、石橋の構築に関わり、修復ができる技術者の養成が欠かせない。その専門技術者の養成は急務と思われる。そこで石工技能者には、次に述べることをマスターすることを提案したい。1. 石造アーチと桁橋がほとんどを占める石橋の点検マニュアルを用いて健全度評価を行う。また、石橋の損傷状況に応じた各種補修・補強方法を習得する。石工技能者も石材のエキスパートであるが、石橋の構造を知って損傷状況を把握し、それに対する補修・補強工事を専門技術者として実施できるよう、技術の修得が求められる。2. 補修・補強方法により実施した後の石橋の維持管理を行なう。石橋のアーチ輪石や壁石のすき間や石材の割れ状況、あるいは石橋の水に対する影響など適宜チェックすることにより、維持管理を行うことができるようになる。石橋の壁石とアーチ基部は構造上、特に重要な点であるのでこの部分の管理は十分留意する。3. 石橋を観光資源として用いるため、石橋の素晴らしさや架橋技術者等の系譜を伝える案内やボランティアの養成も求められる。このような仕事についても技術者として関わりを持つことで、石橋に関する種々のことを学ぶ機会が得られる。4. 石橋を支える現代の石工技能者を個々の場所で養成するのみでなく、九州内の石工技能者が協同してネットワークを持ち、お互いに研修しながら切せっさたくま磋琢磨することも必要であり、情報交換をすることが求められる。5. 石橋を支えるアーチ基部およびその周辺部の石垣は、石橋に欠かせないもののため、石積み工法に工夫が求められる。 今後、石橋の点検や補修・補強等の維持管理を率先して実施していくことにより、石橋は守られることになるので、上述したように石工技能者に専門知識の習得を図る養成の仕組みをつくることが望まれる。例えば、われわれが開催しているKABSE研究分科会へ参加して一緒に活動することも一つの方法であり、点検や補修・補強に関する専門技術者も講師として養成講座に参加し、点検実習等を行うことも考えられる。石橋に関わる技術者養成は時間の掛かる仕事であるので息長く養成し、石橋を愛し好きになる人が一人でも多く出るよう期待したいものである。